ビジネスの分野で激動が叫ばれるけど、それって普遍的な話じゃね?と思っていること

大矢根 翼

新卒で自動車業界に就職し、法人営業を担当。2021年に退職後はフリーライターとしてEC業界からモータースポーツ、教育機関まで幅広い取材記事を約500本執筆。
執筆記事は多くが数年経過後も検索トップに残り続けている。
並行してSEOディレクション、求人媒体開発などにも従事した経験を活かし、株式会社ギルギルタウンに参画。
ウェブ施策を担当。データを活用したユーザーインサイトに基づくコンテンツ制作を得意とする。

こんにちは。
柳に風な大矢根です。

やれ「今の時代はこうだ」とか、やれ「これからはこうしないとヤバい」とか、不安をあおるよな言説が流布する日々。
「生産人口の減少で物流が維持できない」とかはガチだと思うのですが、中には「そんなに騒ぐこと~?」と思うものもちらほらあります。

不確実性の高い時代だ ←これ

最近起きている技術革新とかを紹介して、最後に「こんな不確実性の高い時代だからこそ我々は~」と我田引水するセミナーってめっちゃ多いですよね。

不確実性の低い時代、激動じゃない時代なんてないですからね。
こないだ実家に帰省したとき、2002年ごろに放送された「クレヨンしんちゃん」を録画したVHSを見ていたんですよ。
そしたら「こんな激動の時代に…」みたいなCMが流れていて「変わんねー!」って思いました。

最後に激動してなかった時代っていつでしょう?
数千年間も狩猟採取文化を続けていた縄文時代とか?

いや、縄文時代は嵐とか気候変動とかの自然現象が現代よりも大きく生活環境を変化させていたはずです。
「今までいた場所に住めなくなる」って現代人が味わう変化の何倍も激変・激動ですよね。

現代人は昔より不確実性の影響を受けづらくなっているはずだし、Amazonでポチった商品が「多少遅れても1週間くらいで届くだろう」みたいに、のほほんと過ごせる僕らはかなり不確実性の低い時代に生きていると思います。

かつてないスピードで技術が進歩している ←これ

文明を取り巻く技術はひとつではないので、ある技術がとんでもない速度で発展する一方である技術は停滞している、という現象はいつの時代にも起きてきました。

もっといえば、いつの時代も「需要の高い技術にはカネが集まるので研究開発が進む」という身も蓋もない市場原理が技術革新を動かしています。
昔だって「敵の城門を破壊したい」という需要が高まった中世には攻城塔やらカノン砲やらが開発されたわけですし。

最近はAIを取り上げて「技術革新のスピードがエグい」みたいな話をする人が多いです。

需要があるんだからそりゃそうだろ。

50年後は世界人口が増えすぎて「農業工作機械の進歩がエグい!」みたいな話になってるかもしれませんよ。

AIで仕事がなくなる vs 増える ←これ

AIが人の仕事を奪うと言われてはや3年。
アメリカは空前の就職氷河期を迎えているようです。

確かにAIは一部の人の仕事を奪っています。
日本国内でも1文字1円以下でカスみたいなSEO記事を書いていたライターとか死滅寸前ですよね。

ちょっと前だと「パソコンを使えるかどうか」みたいな話だった「技術が仕事を奪う」論争。
これって人類史の中で永遠に繰り返されている話で、最初期なんて「道具を使えるホモサピエンスvsフィジカルが強いネアンデルタール人」だったんじゃないでしょうか。

結局のところ人類は新しい技術に適応できた人や集団が繁栄して、それ以外が没落するサイクルを繰り返しています。

自分の食い扶持を脅かす技術にはキャッチアップしないといけません。
それが今回はAIっていうだけで、関係がある人は驚かず真剣に取り組むという姿勢が一貫して必要なんじゃないでしょうか。

ショート動画でバカになる ←これ

テレビを見るとバカになると言われて育った僕らの両親はドリフ世代。
その親はマンガを読むとバカになると言われて育ったようです。
僕の世代は「ゲーム脳の恐怖」がPTAを席巻していました。

昨今はショート動画がやり玉に挙がっているようです。
たしかにベビーカーに乗った子どもがipadでショート動画をスワイプしている様子を見ると「なんだかなあ(あえて言語化を省略)」と思います。

この「○○を見るとバカになる」問題の根っこって、「勉強している子に我が子が水をあけられたくない」という親心の発露でしょう。
流行り物に飛びついている時間は勉強に充てられた時間で、同じ時間に勉強をしている子との差が開くのは当然です。
ちなみに江戸時代には洒落本とか滑稽本と呼ばれていたものが今でいうショート動画の枠だったみたいですよ。

ちなみに僕は司法試験合格者の平均勉強時間を上回る時間ゲームしてきましたが、なんとかご飯を食べられています。

勉強は必要だと思ったときに必要な分だけするもんで、誰かに「代わりの何かをしているとバカになる」と言われて止められるもんでも進むもんでもありません。

本当に必要なタイミングで勉強が必要だと思うか思わないかが勉強ポテンシャルの分岐点で、それが高い人も低い人もいる。
それだけの話じゃないでしょうか。